Audi Attitudesは、AudiのCSRプログラムのひとつで、ドライバーの無自覚な運転についてのより深い研究です。Tobii Proのウェアラブル型アイトラッカーは、ドライバーの記憶にない行動や出来事などについて洞察することができます。アイトラッキングデータによって無自覚な運転中での注視パターンの重大な変化が判明し、事故を引き起こす状況や外的要因が明らかになりました。
無自覚の運転(Driving without awareness ‒DWA)とは、すなわち回りを取り巻く道路状況に対して少ししか、あるいは全く自覚していない運転感覚を言います。この現象についての先行研究は僅かで、しばしば高速道路の長時間運転に焦点を当てたものであり、実際の運転経験とは異なるシミュレーターを 使ったものや、運転者の経験について直接ドライバーに質問するような方法でした。
Attitudes は、スペインの Audi によって開始された「会社の社会的責任プログラム 」です。運転中の態度や人間行動の研究に焦点を当て、プログラムは より大量の詳細なこれらの現象の調査に着手しました。
調査は 2 段階に分けて行われました。第一のフェーズでは従来から行われてきた電話によるインタビューを含む伝統的なアンケート調査を、DWA の広範な諸局 面に取り組み、現象を定量化するためにスペインのドライバー代表する 2000名に対して行いました。第二フェーズでは、いくつかの定義された仮説をテストし、 多くの詳細な無自覚の運転エピソードを調査するために、綿密なインタビューと一緒に視線追跡の観察が行われました。
いくつかのテストされた仮説とは
■ ドライバーがあるアイデアや考えに集中していると、半ば無自覚の運転はより多く起こる
■ 慣れ親しんでいるルートは、変化しない視覚的刺激に対する少ない注意を促す
■ 沢山の視覚的刺激の存在は無自覚の運転の出現可能性を減少させる
■ ドライバーは運転の行為に関係のある刺激よりも、関係しない刺激に対してより不注意である
この調査によって DWA は広範に行われており、それは経験や運転習慣の 1 つの結果であることが分かりました。調査の中で、たった 25% のドライバーが決して 無自覚の運転を経験したことがないと答え、5% 以上の参加者がいつものようにそのような状況を経験していると報告しています。また調査では、このような形 で運転するドライバーは、概して経験を積んだドライバーで、頻繁に運転しており仕事や学校へ行くのにいつも同じルートを通っています。
さらに調査によって、いつもこのように運転していると言ったドライバーの中にも、殆ど意識的に運転していると言ったドライバーの中にも DWAの証拠を発見した。それゆえに全てのドライバーがこのように運転していることに気づいているわけではないと仮定できます。
無自覚の運転は安全な運転と言えるのか?
調査の結論は、DWA は運転という行為への注意を減少させる、しかし必ずしも一般的な安全確保や路上の安全を減少させるわけではない。万一危険を察知する何かが起これば無自覚の運転は消え失せ、殆どのドライバーは殆どの場合普通に振舞う事ができるでしょう。研究者は反応時間への影響をテストする事が出来なかったが、その増加は非常に小さいだろうと考えています。無自覚の運転は大したことでは無いと考える事はできます。しかしその運転が制限速度を超えた運転のような他のリスクと一緒になると事故に対する影響は増加するかもしれません。