アイトラッカーで瞳孔径計測は可能か?

Hardware Neuroscience Eye tracking technique

Tobii Proアイトラッカーで使われているアルゴリズムは、瞳孔の位置だけでなく瞳孔径も算出します。

アイトラッキングカメラで記録された目の画像とアルゴリズムから構築された3Dアイモデルによってアイトラッキングカメラから瞳孔までの距離が算出されます。撮影された画像の中の瞳孔の直径にスケール係数を換算し、瞳孔径として出力します。
瞳孔径の定義としてはいくつかの考え方がありますが、Tobii Proアイトラッカーによって使用される3Dアイモデルでは、瞳孔径は画像上の大きさではなく、実際の眼球内部の物理的サイズとして定義されています。

しかし、ほとんどの科学的研究では大きさの変化量を分析するため、瞳孔径の絶対値よりもその変化量が重要になります。Tobii Proラボなどのソフトウェアで瞳孔径の変化量を見ることができます。

画像処理アイトラッカーを使用した瞳孔の研究

生理学的覚醒、不安、認知負荷と処理、言語習得、発達、情報科学、人間のパフォーマンスなどにおける知覚の指標として様々な分野で瞳孔の反応が研究されてきました。

もし瞳孔サイズをアイトラッキングと合わせて研究する場合は、いくつかの点について知っておいた方がいいでしょう。

  • 画像処理のアイトラッカーでは、実際の物理的な瞳孔径を測れないため(一般的には画像処理で眼球モデルを生成した上で、mmなどの任意の単位で出力されます。)、膨張率などの相対的な変化量での解析をした方がいいでしょう。
  • 信頼できるデータを取得するには、適切なベースラインを確立することが不可欠です。これを行うにはいくつかの方法がありますが、指標のみといったような単純な視覚刺激を呈示し、実際の対象となる視覚刺激呈示の直前の500msほどの間の瞳孔径をベースラインとするのが一般的です。
  • 視覚刺激が認知処理や覚醒度合いに劇的に変化を与えるものでない限り、瞳孔径の反応はわずか0.1mmほどの小さい変化だということに注意してください。
  • 被験者のスクリーニングにおいて条件の追加が必要になる場合があります。例えば、動眼神経麻痺などの状態やオピオエイド、エピネフリン、抗高血圧薬などの投薬は瞳孔の反応に影響を及ぼす可能性があります。
  • 明瞳孔と暗瞳孔では、画像処理上での瞳孔画像のコントラストの違いが算出される瞳孔径に影響を与える可能性があるため、Tobii Proスペクトラム、TX300、X3-120、Proグラス2などの単一のイルミネーションモードを使用して瞳孔径を計測するアイトラッカーを使用してください。

瞳孔測定研究では、これらの基礎を念頭に置いておくと、視覚的注意と、認知的または感情的反応を組み合わせて、人間の行動をより深く研究することができます。

アイトラッカー VS 瞳孔径計測器

アイトラッカーによる瞳孔径計測と、純粋な瞳孔径計測器との違いについて解説します。

Difference #1

純粋な瞳孔径計測器はカメラが眼球のすぐ前に配置されます。瞳孔とカメラが平行に配置されることによって瞳孔を正面から捉え、真円に近い状態で計測出来ます。その結果得られる瞳孔の画像は円の歪みがなく、正確な瞳孔サイズを出力します。しかし、眼球のすぐ目の前に配置するということは、被験者は瞳孔径計測器のシステムで呈示可能なものしか見ることが出来ないということを意味しますので視覚的注意の実験には向いていません。

対照的にアイトラッカーでは、やや下方から瞳孔を捉えるため被験者は画面やその他さまざまな対象を視覚刺激とすることが出来ますが、瞳孔画像は楕円として取得されます。ほとんどのアイトラッキングシステムはこの円の歪みのための何らかの瞳孔サイズの補正を行います。

Difference #2

純粋な瞳孔径計測器は、あらかじめパッケージ化されたいくつかのメトリクスを出力します。瞳孔のサイズや、縮瞳の反応時間、縮瞳や散瞳の速度、変化率、散瞳から75%まで回復までに要した時間などで、目や視覚における健康や病理検査のために設計されていて一般的には眼科医などで使用されています。

アイトラッキングシステムは、停留時間や、サッカードの長さ、対象箇所を見た回数などの基本的な視覚的行動に関連した様々な結果を出力した上で、記録したデータから瞳孔径の変化も再構築することが可能です。

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