消費者行動を理解し、影響を与えるには?

  • Mike Bartels
  • 6 分

The consumer journey - Tobii

デジタル時代において、注目を集めることはますます困難になってきています。この過飽和の環境の中で各企業のマーケティング素材がしのぎを削る中、私たちはもはやクリエイティブなコンセプトだけを信じていていいのでしょうか。私たちは、顧客の注目を集め、維持するために、より深いレベルでの顧客理解が必要となります。

なぜ従来のマーケティングリサーチでは不十分か

店頭調査、デプスインタビュー、アンケート調査といった従来のマーケティングリサーチ手法は有用なツールですが、それだけでは限界があります。それはなぜでしょうか?これらの方法は、消費者の表面的な反応にのみ依存しているため、バイアスや曖昧な記憶、根本的な意思決定要因を明確にするには十分ではありません。簡単に言えば、消費者が話していることを全て信用していいわけではない、ということです。

本当に価値のある調査結果を得るためには、人間の想起におけるバイアスに対処する必要があります。アイトラッキングは、視線パターン、フォーカスポイント、注意の広がりに関する生のデータに直接アクセスすることで、より深いインサイトを提供します。私たちの行動の多くは無意識のうちに起こっているため、調査参加者がそれらを正確に説明することは不可能でしょう。アイトラッキングは、カスタマージャーニーのあらゆる段階において、何が私たちの意思決定に影響を与えているのかを明らかにすることができる、正確で信頼できる方法なのです。

Illustration for eye tracking and tradional methods

従来の手法では、消費者の欲求や行動を引き出していました。アイトラッキングは、消費者の隠れた興味や、何が本当に消費者の注意を引くのかを明らかにします。

アイトラッキングで様々なインサイトを明らかに

消費者調査にアイトラッキングを活用している企業は、より効果的に消費者からの注目を集め、最終的にその注目をコンバージョンにつなげています。このテクノロジーを開発し、マーケティングリサーチへの活用を支援してきた結果、私たちは、4つの重要なタッチポイントを発見しました。

この消費者の4つのタッチポイントについて、  架空のA社を通して見てみましょう。

1. 商品の認知:マーケティングキャンペーンの評価

目的:A社は新製品のテレビCMを出稿しています。新しいCMが意図したメッセージを伝えながら、効果的に視聴者の注意を引いているかどうかを理解したいと思っています。

手法:実際のリビングルームでの自然なテレビ視聴行動を把握するため、A社は参加者宅の実際の環境で調査ができるよう、アイトラッキンググラスを提供することにしました。この手法により、近くにリサーチャーがいなくても、視聴者の注意を引き付けるもの、消費者が無視しているもの、注意をそらすものについて正確なデータを収集することができます。

結果:データによると、参加者はその製品についてさらに調べたいと感じるほど、十分にブランディングが訴求できていないことがわかりました。A社は広告代理店に、次回以降のキャンペーンでブランドの存在感を高めるよう指示することができました。

Consumer Journey research with eye tracking - Tobii Pro insight

2.商品の評価:ECサイトにおけるコミュニケーションの最適化

目的:A社は、消費者がAmazonで自社製品を購入するのがいかに簡単か、あるいは難しいかをより理解したいと考えています。同社は過去5年間でオンライン売上が20%増加し、eコマースのトレンドが拡大していると感じています。

手法:A社は、偏る可能性のあるアンケート調査や、マウスのクリックやカーソルの移動のような不確かなデータに頼る代わりに、アイトラッカーを使ってユーザージャーニーを効率化し、商品表示ページに存在する潜在的な改善ポイントを特定しました。

結果:データによると、参加者は商品説明をほとんど読み飛ばしていて、商品の効果を説明するビデオを最後まで見ていないことがわかりました。デザイナーは、商品説明を大幅に短くし、動画を商品画像に置き換えることにしました。

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3.商品の購入: 店頭での消費者行動を理解する

目的:A社は、新商品のパッケージデザインと店頭ディスプレイを評価し、競合商品との差別化を図りたいと考えています。

手法:店頭でのインタビューに加え、A社はアイトラッキング調査を実施し、消費者が店内をどのように移動しているのか、また、棚に並んだ競合商品の中から自社製品を見つけやすいのかを把握しました。

結果:データによると、パッケージは顧客の注意を引くのに非常に効果的だったが、顧客がよく見ると、購入決定に影響を与える重要な製品仕様を見つけるのに苦労していました。デザイナーは、主要な製品仕様を移動して大きくし、見つけやすく、読みやすいように変更しました。

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4. 商品の使用:初めから終わりまでの満足度管理

目的:A社は、自社製品に対する顧客満足度を高く維持することが、ブランド・ロイヤルティを確保する上で極めて重要であると認識しています。そのため、製品を箱から出して使用したときの顧客の反応を調査したいと考えています。

手法: 以前はEメールによるアンケートを行っていましたが、回答が少なく、主に極端に肯定的または否定的な意見を持つ顧客からの回答が多くありました。現在は、新規顧客にウェアラブルアイトラッカーを提供し、家庭内での自然な行動に関するデータを収集しています。

結果: データによると、組み立て説明書に対する不満がかなり多いことがわかりました。説明書は、解釈しやすいように文章を減らし、イラストを多用するよう再設計されました。

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市場での競争力を保つために

消費者の注目を活用することは、マーケティングリサーチの目指すべき最も重要なことです。それを怠れば、コンテンツは消費者の目に届かず、コンバージョンが悪くなり、リソースを無駄にする危険性があります。アイトラッキングを活用することで、消費者の隠れた思考や意思決定要因を可視化することができ、競合他社よりも一歩リードすることができます。

Tobiiでは、ハードウェア・ソフトウェアの提供だけでなく、調査の設計、リクルーティング、データ取得、分析までをパッケージ化した、アイトラッキング調査・分析サービスも提供しています。

「なぜ」を探るアイトラッキング調査

アイトラッキングで消費者行動を理解するためのガイドブックです。

執筆

  • Mike Bartels

    Mike Bartels

    Director of Marketing research and user experience

    Mike Bartels has a master’s degree in experimental psychology and 12 years of experience within the field of eye-tracking research and attention measurement, across a range of different areas of commercial and academic fields. His publications include eye tracking–related articles for several marketing research magazines including Quirks, QRCA Views, MRA Alert, and a book chapter in Eye Tracking in User Experience Design (published in 2014 by Schall and Bergstrom). He has presented at several scientific conferences including the Human-Computer Interaction International Conference, IIEX and the Eye Tracking Research and Applications Conference.

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