アイトラッキングは、UXのあらゆる疑問に対し回答を与えるものではありませんが、アイトラッキングが回答するものについては、他の方法では不可能だった方法で回答を与えています。素晴らしいユーザー体験は、もはや、あったら良いな、というものではなくなりました。これは、顧客からの期待なのです。初めて製品やサービスに接した時に、好印象を与えられない、少なくとも理解されないということは、ほぼ確実に、顧客からすぐに見放されるということなのです。では、UXの最適化が量産される現在の状況において、どうしたら製品やサービスを有利なものにすることができるのでしょうか?
アイトラッキングが初めてな方への簡単な概要:アイトラッキングは、人がどこを見ているのかを正確に測り、多くの場合、これを記録し、後から確認することができるものです。詳しくは、こちらをご覧ください。
ユーザー体験について何を知りたいか定義することは、どのテスト方法が最も理にかなっているかを知るのに役立ちます。勿論、あなたの調査の深さや範囲は、あなたが利用できるリソースにより異なりますが、一から製品を構想するにしろ、性能の劣る製品を再生するにしろ、ほとんどの状況に適用する考慮するべきことがいくつかあります。
一言で言うと、他のテスト方法では不可能な、ユーザーの接し方に関して、なぜ、いつ、新たな層の目に見えるフィードバックが欲しいのかを、知りたくなったときに、アイトラッキングが役立ちます。
ストックホルム、Nackademin社のUXデザイナーであり、講師である Andreas Olssonは、「アイトラッキングは、ツールボックスの中のツールであり、あらゆることについて常に必要なものではありません。優れたツールではないとは言いませんが、ただ、テストを複雑化しすぎないことが重要だ」ということを理解するのが大切だと言っています。
彼は、設計プロセスの適切な段階において、適切なツールを用いる重要性を強調しています。「 人々が簡単にボタンを見つけて、ウェブサイト上のフォームに記入できるかどうかをテストしようとするならば、単純な時間ベースの成功/不成功のテストで十分でしょう。彼らがどのくらい簡単にボタンを見つけ、フォームをどのくらい簡単に理解できるのかを知りたいならば、アイトラッキングは理想的です」と彼は言っています。
アイトラッキングは、他のどの方法でも伝えることのできない視点を与えてくれます。それは、ユーザーの視点です。アイトラッキングをベースとするユーザビリティテストツールを使用することで、人々があなたの製品やデザインに接する方法という、独特のインサイトを得ることができます。このインサイトは、設計プロセスの様々な点で役に立ちます。多くの場合、他のテスト方法で得る情報を強化することが可能です。
ユーザー体験エージェンシー、inUseのシニアUXデザイナー、Henrik Fagerberg は、アイトラッキングを使用し始めたとき、アイトラッキングで既存のテストに追加された情報のタイプに、嬉しい驚きを感じたと語っています。「テスト参加者が、見つけようとしながら見つけられない物を、実際には見ていること、或いは、そこにあることに気づいていないことが分かりました。アイトラッキングが無ければ、こんなことは分からなかったでしょう。」
アイトラッキングのテストセッションは、記録することができ、ユーザー体験と思考プロセスに関する情報をもっと得るために、回顧的な思考発話法によるインタビューに使用することができます。この情報は、他のステークホルダーに簡単に見せることができ、ユーザーへの共感を高め、デザイナーの進言により多くの理解を得ることができます。
Fagerberg氏は、次のように考えています。「結果は非常にはっきりしています。例えば、購買フローの場合、人々が各ステップにどのくらい長く時間をかけているか、どの程度簡単にプロセスを見出しているかを知りたいとします。アイトラッキングは、単にクリックデータやマウスの動きを見るよりも、彼らが目を使っていかにしてプロセスを通過するかを知ることができます。アイトラッキングは、彼らのメンタルプロセスについて、より多くのことを教えてくれます。」
アイトラッキングから収集されたインサイトにより、ユーザー行動に関する有益な詳細が提供され、以下のようなことを明らかにします。
ユーザー体験テストにアイトラッキングを用いる利点は、驚くほど簡単に始めることができるということです。ほとんどの場合、USBポートを使って、ただ、ラップトップパソコンにアイトラッカーを付けるだけです。お持ちのビューイングソフト/レコーディングソフトで起動するか確認できれば、開始です。
テストの実施に使用できるアイトラッキング製品は各種ありますが、計画の段階で、全般的に考えておかなければならないことがあります。
一番大切なのは、プロセスを楽しむことです! 残念ながら、いまだにアイトラッキングは複雑で高価だという認識があります。しかし、今ではそんなことはありません。ユーザーテストのツールボックスにアイトラッキングを入れようと思っていない人は、貴重なユーザーインサイトを見逃しているのです。