視覚研究のためのアイトラッキング

カーディフ大学視覚科学部では、視覚に問題のある人の眼球動作を調べるため、Tobii Proのアイトラッキング製品を使用しています。周囲環境が視覚低下に及ぼす影響について分析研究がなされています。

眼疾患の診断

イギリスのカーディフ大学視覚科学部のMaggie WoodhouseとJon ErichsenはTobii Proのアイトラッキング製品を使用し、眼球運動と眼球運動疾患をより理解し、臨床診断の方法を開発する研究を行っています。眼振や斜視のような眼疾患の研究、眼球運動制御の臨床評価、追視困難を検知推定するといった研究です。

読み書きといった視覚が重要な作業中や動く物体を見ているとき、頭部と肢体のバランスをとるとき、ただ単に近くでなにが起こっているか観察しているときなど、人は日中継続的に眼球を動かしています。適切な器具を使用すれば、こうした眼球運動を定量し分析することが可能で、我々がどのように眼球を動かしているか、なにを見ているのか、実際になにを見ることができるのかわかります。

Tobiiアイトラッカーはとても使い易く、また、患者に非常に優しいシステムです。Tobii T60 XLアイトラッカーは小児のように検査が難しい人々の研究も可能で、今まで検査が出来なかったあらゆる被験者からの眼球運動の非侵襲性データが取得可能となるでしょう。

Maggie Woodhouse, Senior Lecturer at the School of Optometry and Vision Sciences at Cardiff University

眼振患者の視覚機能

長年眼振についての研究を行っているカーディフ眼振研究班は、幼少期発症で継続的な水平方向の眼球振動により視覚障害をもつような患者の眼球運動を研究しています。

アイトラッキングは眼振患者の眼球運動力学研究を可能とし、またストレスが多い環境でその眼球運動がどのように影響されるかを定量測定します。 Tobii Pro T60 XLの登場まで、他のほとんどのアイトラッカーでは、眼球運動を計測するために頭部に何かしらの装置を装着しなければならず、また、テストできる眼球運動の範囲にも限界がありました。

ワイドスクリーンを搭載した Tobii T60 XL アイトラッカーでは、眼位で変動する眼振をもつ人々の視線の動きの頻度や振幅を研究するために、周辺部に視覚刺激を提示することがはるかに簡単です。

このシステムは完全に非侵襲性で、水平方向だけでなく垂直方向の眼球運動を測定するので、人々 が文章を読んだり複雑な画像を見たりする日常の作業をどのように行うかを検査する実験を直接的、かつ容易に行うことが出来ます。特にワイドスクリーンを持つT60XL アイトラッカーが優れている点は、リアルタイムに視標も提示できる点です。

Gaze plots from a person with nystagmus (on the left) and without  nystagmus (on the right).

図横のキャプション:

図は眼振患者がいかに正常者に比し読字が困難かを示しています。

小児の眼球運動制御に関する臨床的診断

カーディフ大学では他にも滑動性追従運動のような眼球運動の特性についての臨床評価方法を改善することを目的とした研究も行っています。 特に最近始めた小児に焦点を当てた臨床研究では、以下の疑問にアイトラッカーで回答を得ようとしています。

・ 小児の眼球運動制御を評価するための現在行われている臨床検査はどの程度の信頼性があるのか?
・周囲の環境や指導が、臨床の場で、動的視標を追視する小児の能力にどのような影響を与えるか?

A young participant going through the calibration process on the T60XL eye tracker.

「妨害刺激が存在する場合や、 最初に指示が与えられるだけでアイトラッキング中には再度指示がない場合は、注視は偶発的で、注視能力は脆弱となるであろう」、また、「妨害刺激が排除され、患児に適切な指示を与えれば、追視能力は向上するだろう」と いう仮説が立てられました。

この課題のために、追視障害が疑われる小児に対する研究が行われる予定です。Tobii T60 XL アイトラッカーは、視覚刺激の提示と 眼球運動データの取得に使用され、追視の正確さと整合性の程度について、分析を行います。